山田太一が脚本を担当した、NHKの一族シリーズ。これまで「春の一族」「夏の一族」をご紹介しました。

 

今回は「秋の一族」を取り上げます。「冬の一族」は制作されませんでしたので、これが一族シリーズ、最後のレビューとなります。

 

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鑑賞してから、やはりすぐに感想を書かないといけませんね。印象が日ごとに薄れてゆきます。

 

厳しい言い方をしますと、この「秋の一族が」最も低調な作品です。低調という意味は、全体にちぐはぐな感じがして、ドラマとして、のけぞるほどの魅力はありません。

 

もちろん、そこここに山田太一的な巧さはあります。一人ひとりの俳優さんたちは、頑張っていることは間違いありません。

 

しかし、全体として響き合っていないのですね。

 

特に、 大鶴義丹の大根ぶりと、岸恵子がどうしても浮いてしまっていて、山田太一ドラマとしては、珍しく凡作となっています。

 

緒方拳の出演しているNHKドラマとしては「タクシー・サンバ」があり、これが傑作なので、どうしても「秋の一族」は見劣りがします。

 

もう、ドラマとしての熟成感や完成度は捨てて、緒方拳藤岡琢也の個人技を楽しむという方向もあるかもしれません。

 

個人の俳優ということでは、大鶴義丹の妻を演じた原田知世が、いい味を出していました。妊娠中の能天気な若妻役を好演。

 

ひょっとしたら、もっとも光っていたのは、原田知世かもしれません。若い人向けの連続ドラマとかでは、この原田知世の味は出てきません。大鶴義丹と正反対な性格という設定は効いていました。

 

凡作といえども、そこはそこ、山田太一です。水準以下なわけがなく、もちろん、一度は見ておく価値はあります。