風花未来の今日の詩は「『苺』という希望」です。

 

「苺」という希望

 

苺を一口食べたら

体がピクッと反応した

 

おいしかったというより

体が正直に

喜びの声を上げたという感じ

 

苺は滅多に食べない

今は抗がん剤の副作用で

口の中がかわくので

苺を食べたのだと思う

苺を一口食べたら

渇きが癒されただけでなく

副作用でできた

蕁麻疹の不快感からも

いっしゅんのうちに解放された

 

でも なぜ 苺なのか

他にも果物はあるだろうに

 

それは

わからない

 

苺のことを私は

あまり知らない

苺のことは

わからない

 

そもそも

イチゴを「苺」と書いたのも

これが初めてだ

 

イチゴだと

「一語」かもしれないと

想ったから

「苺」と書いてみた

 

「苺」っていう漢字は

不思議だね

 

「苺」って

「くさかんむり」に

「母」って書くのには

意味があるらしいのだけれど

辞典の説明では

よくわからなかった

 

果実だと思って食べている苺は

実は花の一部で

苺についているゴマのような

粒粒が

苺の実なのだと

生物学的にはそうなるらしい

それも何だか

わかったような

わからないような……

 

それより何よりも

苺の花言葉が気になる

 

「あなたは私を喜ばせる」

 

これが苺の花言葉って知って

久しぶりに笑った

 

本当だよね

 

私は苺を食べて喜んだ

 

最近

本当のことって

余りにも少ないって感じてたけど

 

苺が私に起こしてくれた

とてつもなく巨大な事件は

まさに「本当」だった

 

私を喜ばせたのは

苺の花なのか

苺の実なのか

それはどうでもいい

 

とにかく

苺を食べて

体がピクッと反応して

喜びの声を上げた

それが

今の私にとって

最大級に尊い

 

これからは

口がかわいたら

まよわず苺

苺を食べよう

これって

素晴らしい希望なんだと想う

 

この希望は

本当だ