今日の風花未来の詩は「ココア」です。
ココア
どうして
ココアを注文したのかは
わからなかった
病院からの帰り道
無性に甘いものが欲しくなったのか
でも
ケーキはたのまなかった
でも どうして
ココアを注文したのだろうか
18歳で東京に出てきた時
喫茶店に入って
初めて注文したのが
そういえば
ココアだった
その時も
どうして
ココアを飲んだのか
理由はわからない
ただ
とてつもなく
おいしかった
それだけは
鮮明におぼえている
だから
病院の帰り道に
ふと入ったカフェで
ココアを注文したのだろうか
それも
よくわからない
ただ
18歳の時に飲んだココアとは
味がかなり違っていたことだけは
確かだった
でも
おいしかった
その時
ハッとした
東京の喫茶店で
ココアを注文してから
今まで
一度も
ココアを注文したことがなかったのだ
それなのに
なぜ
このタイミングで
ココアを飲みたくなったのか
ココアは
不思議な飲み物だな
これほど甘くて
温かくて
心をすっぽり
包んでくれる飲み物は
ほかにはない
これからは
週に1度くらいは
ココアを飲みたいと
ふと思った
死ぬまでに
あと何杯くらい
飲めるだろうか