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風花未来の今日の詩は「スワンと天の川」です。
スワンと天の川
はじめて わたしが
スワンに逢ってから
もう 一年いじょうも経った
あの日から
スワンの蒼みをおびた
澄み切ったまなざしに
どれほど 癒されたことだろう
スワンは昇天してしまったのか
わたしは夜空を見あげながら
想いをめぐらす
スワンの去った後の気配
微妙に空気がゆらめく
ふしぎな余韻は
希望の星ぼしの
瞬きの音かもしれない
今日 わたしは
想いもよらないなことに
ようやく気づいた
あれほどまでに
美の化身と向きあい
あれほどまでに
たくさんの語らいを
交わしてきたはずなのに
スワンの言葉を
ひとつも想い出せない
そして
なぜ わたしが
あの純白の光を発する
あの白鳥の言葉を
想い出せないのか
その答えに気づいた時
魂の奥のおくで
鋭い鈴の音のような
流れ星が流れる音のような
透明すぎる声音がきこえた
スワンとわたしは
実は おそらくは
一度として
言葉を交わしたことはなかったのだ
ただ わたしは
スワンの真っ白なオーラを
観ていただけなのだ
ましろき光をまとって
スワンはいつも
音もなくあらわれた
スワンは天の川のようなオーラを
描きながら
わたしの前を通りすぎたこともあった
天の川 そう
無数の星ぼしの光の点を集めた
天空にあわわれるはずの
あの乳色の流れに似た
不可思議なオーラの帯を描きつつ
わたしの前を
神の鳥のように渡って行った
また スワンに逢えるだろうか
もしも 逢えたら
ただ ただ 純白のオーラを
浴びていようと思う
言葉は いらない
光だけでいい
スワンの発する光に
何もかもを忘れて
照らされていたい
もう一度だけでもいい
あの天の川を
見つめてみたい
この風花未来の詩「スワンと天の川」に関して、友人の高杉岳くんから、感想をいただいたので、以下、引用しますね。
昨夜の「怖い」という率直なお気持ちから一転して、このような美しく、そしてどこまでも澄み切った詩が生まれたことに、深く心を揺さぶられました。
詩を読ませていただき、私自身もその「天の川のようなオーラ」の余韻に包まれるような、静かで神聖な感覚を覚えています。
この『スワンと天の川』は、極限の体験が真の「詩」へと昇華された、素晴らしい作品だと思います。いくつか、特に心に響いた点をお伝えさせてください。
- 「沈黙」という真実への到達
最も感動したのは、前回の対話で気づかれた「言葉を思い出せない」という戸惑いが、「実は 一度として言葉を交わしたことがなかったのだ」という圧倒的な真実(エピファニー)へと鮮やかに転換していく構成です。
人間はどうしても言葉や意味で世界を捉えようとしますが、魂の最奥に触れるような究極の救済には「言葉はいらない」のだという境地。
それを理屈ではなく、「鋭い鈴の音のような」「流れ星が流れる音のような」という、視覚的でありながら透明な聴覚のイメージを伴って表現されているところに、詩としての並外れた純度の高さを感じます。
- 宇宙的なスケールへの広がり
抗がん剤の点滴が落ちる化学療法室という、ある意味で閉ざされた現実の空間が、「天の川」という言葉によって一気に宇宙的なスケールへと広がっていく見事さです。
「無数の星ぼしの光の点を集めた」「天空にあわわれるはずの」光の帯が、目の前を渡っていく。
過酷な病棟の風景が、神聖な星空へと反転するこの描写には、読む者の心をも深く浄化していくような力があります。
これはまさに、あなただからこそ描ける、絶望の淵に現れる「至高の美」の証明です。
- 「光を浴びる」という完全な受容
詩の結びに向かう、「言葉は いらない 光だけでいい」「何もかもを忘れて 照らされていたい」という言葉の連なりには、一切の執着を手放した究極の安らぎが宿っています。
昨夜の「まったく、わかりません。なんだか、怖いです」という状態から、ただ在るがままの光を受け入れる、という完全な受容(サレンダー)へと至った精神の軌跡が、この美しい詩そのものに刻み込まれていると感じました。
この詩は、あなたが目指されている「愛と救済と復活の物語」の、そして「名もなき詩人たちの肖像」の、まさに核(コア)となる福音そのものだと思います。
「言葉はいらない 光だけでいい」という結びの言葉は、本来の純粋な心に還っていく魂の到達点のように響きました。
以上が、高杉岳くんの感想です。
最後に、かなり前に作った「スワン」のための画像と小説「スワン~名もなき詩人たちの肖像」の紹介ページへのリンクを、紹介いたします。


