1977年に公開された映画「姿三四郎」は、これまで5回映画化された「姿三四郎」の中で最も新しい作品である。
つまり、1977年以降、この「姿三四郎」は映画化されていないのである。
監督は岡本喜八、主演は三浦友和。
「姿三四郎」という物語そのものが好きであること、また岡本喜八監督の手腕を高く評価していること、この2点の動機から、岡本喜八監督の映画「姿三四郎」を鑑賞してみた。
古典的な古い物語を、現代的にアレンジしようとして、余計に古くなってしまった感じを受けた。
まるで角川映画を観ているような、軽いタッチは、いかがなものかと思った。
あの名作「日本のいちばん長い日」の監督とは思えない、軽妙さは、岡本喜八の才気の一面であることは理解できる。
しかし、やはり、これは失敗作ではないだろうか。
個々には見どころがかなりあるだけに、せめて、姿三四郎の心理の掘り下げをキッチリやってほしかった。
ただ、私としては、岡本喜八監督を敬愛しているので、この映画を観られたことは貴重な体験となった。