映画「華岡青洲の妻」を観た。増村保造監督がシリアスに真正面から描いており、見ごたえは充分であった。
映画「華岡青洲の妻」は、1967年に公開された日本映画。
監督は、増村保造。主演は市川雷蔵、若尾文子、高峰秀子。
なかなか評価し辛い作品となっている。映画全体は格調高く、脚本も演出を練られており、たいへん優れていることは確かだ。
しかし、どこがどのように素晴らしいのか、と問われると、実に評しにくいのである。
おそらくは、テーマが分散しているだめだろう。
名女優である高峰秀子の演技はすごいのだが、それがメインでは決してない。
市川雷蔵が演じた名医である華岡青洲の人間像も魅力的に描かれているが、どこか中途半端な感じがした。
では、事実上の主役である若尾文子は、どうだろうか?
これもまた、掘り下げが今一つ足りないのである。
おそらく、増村保造監督は、市川雷蔵、若尾文子、高峰秀子、この三人の人間関係劇として描き語ったのだろう。
実際、そうなっている。しかし、これでは、映画として見どころが分散してしまい、どういう映画なのか、どのように感動したら良いのか、迷ってしまい、没入感と鑑賞後のカタルシスが弱くなってしまった。
作品としては成功していないが、増村保造監督の力量は大したものだ、ということは再認識できた。
増村保造監督のファンなら、必見の映画と言えるだろう。