今回の風花未来の詩は「寒風の中へ」です。

 

寒風の中へ

 

積木の城は

くずれた

 

音もなく

ゆっくりと

くずれ落ちた

 

そして

廃墟だけが残った

 

花も

鳥も

人も

見えない

 

もう

幻の楼閣(ろうかく)には

帰れない

 

人生の初期化は

できないが

歩いてゆく

方向は変えられる

 

今は

この廃墟から

心をかたく閉じて

寒風のただ中へ

突き進もう

 

再出発は

厳しい天候が

ふさわしい

 

嵐でも

豪雪でも

もう

怖くはない

 

険しいけれど

この道が

駅にはいちばん近い

 

希望行の

最終便には

まだ間に合うかもしれない

 

無人の廃墟から

誰にも心を開かず

寒風に

この身さらし

茨の道を進もう