映画「張込み」は、松本清張の小説「張込み」が原作になっています。

 

1958年1月15日に公開。監督は野村芳太郎。助監督は山田洋次。脚本は橋本忍。音楽は黛敏郎。

 

主演は高峰秀子。刑事役は、大木実と宮口精二がコンビを組んでいます。

 

生真面目で誠実な性格の刑事を、大木実が好演。実際の主演は大木実と言っていいでしょう。なぜなら、大木実が演じた刑事の視点で主に映画が構成されているからです。

 

一言で評するならば、佳作です。派手さはありませんが、いぶし銀のような味わいが、映画を愛する者の心を深く満たしてくれます。

 

高峰秀子と田村高広のラブシーンが意外でした。高峰秀子の演技力を感じさせるのは、日常生活と元恋人と再会した時との落差です。

 

女性はこれほどまでに変わるものなのか、という豹変ぶりを、高峰秀子が大胆な中にも品格を滲ませて演じている、そのことに驚嘆をしました。

 

1950年代の優れた映画作品として、この「張込み」も語り継がねばいけませんね。