草なぎ剛が主演したドラマ「僕の生きる道」を見返している。
この設定と展開で、グイグイと引き込まれるとは……
『僕の生きる道』(ぼくのいきるみち)は、2003年1月7日から3月18日まで火曜日 22:00 - 22:54(JST)にフジテレビ系列で放送されていたテレビドラマ。
やはり、演出がいいのだろうか。
「僕シリーズ」はすべて見ている。3部作あるのだが、どれか一つを選ぶのが困難なほど出来がいい。
「僕の生きる道」は、その第1作目。
癌と知った主人公が懸命に生き始めるドラマ。
黒澤明の「生きる」の影響が少し見られるが、パクリという感じは全くない。
制作者は、独自の世界観を持っているらしく、それを精妙に提示してくるので、文句のつけようがない。
このドラマには、ずっと静かな音楽が鳴っている感じがする。
ドラマはずいぶんたくさん見てきたが、そういうドラマに出逢ったのは初めてだ。
そう、この静けさがいい。静かでありながら、豊かな生命力というものが清澄な調べとなってこちらに伝わってくるようだ。
草なぎの好演が何と言っても光っている。
一時の菅野美穂がそうだったが、一つ間違えば病的ととれるくらい、繊細で微妙な心の揺れを表現していて、思わず性格俳優と呼びたくなるのである。
こういう質の高い作品が年に5本ぐらい出てくれば、大満足なのだが、現実はそうではない。
こうした精神性の高いドラマが、毎年作られることを望むばかりである。