今回は風花未来の「独りごと」というをご紹介。

 

独りごと

 

華やかなものから

遠ざかってゆく

 

土のように素朴で

石のように単純で

何よりも健やかなものを

大切にしていたい

 

黒い瞳と

白い花がいい

 

硬質で

粘り強い

確かな器がほしい

 

揺れ動き

幻惑する舞踏よりも

じっと動かないで

辛抱しつくして

やがて ひっそりと

小さな実を結ぶ

あたらしい命を

慈しみつづけたい

 

水底に光るものが

眼に痛い

よどみのない川はうつくしい

でも わたし自身は

もう どこに流されない

 

わたしはまた久しく

空の色を忘れていた

よぶんなものを洗いながすこと

広い世界をめざしてゆくこと

でも どうやら それは

岩肌の手ざわりを

見失っては

かなわぬ願いのようだ

 

独りごとを言っているうちに

少しずつ視界が

明るくひらけてきた

 

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