かなり前の詩、私、風花未来が、いや、まだ風花未来という名前でなかった頃に書いた詩をご紹介してゆきたい。

 

「詩」とか「作品」とか呼ぶには、あまりにも未熟だが、そこはご勘弁願いたい。

 

いろんな事情があって、これら20代に書いた詩は未発表のままでいたのだが、もうそうした事情も消え果てた。

 

では、まずは、私の同人誌に載せた作品である。1980年6月という日付が表紙には印字されている。20代の前半に書いた詩だ。

 

小さな世界

 

誰でも心の奥に

小さな森を持ってるのかもしれない

パチンとひとつ指を鳴らせば

蒼い明るさの中にいる

まばたきすれば

木の葉がさわぎ

手を差し出せば

小鳥たちが飛んでくる

 

誰でも心の奥に

小さな遊び場を持っているのだろう

本当には帰ってゆけないが

眠りの中でしか

ゆけないところだけれど

あの砂の白さだけは

忘れられない

でも そんな輝きを

みんな失くしてしなったら

人はどうなってしまうだろう

 

今 私は

その小さな世界を

大きなシャボン玉の中にしまって

そっと抱えている

 

今手元にあるのは、この一冊のみだ。

 

私のよりも、他の同人の作品が極めて優れているので、驚いた。

 

思わず、のけぞりそうなほどの魅力が、誌面から溢れ出してくる。

 

もう、気恥ずかしさと戦っている時間はない。

 

毎日一篇ずつのペースで、私の過去作品も、ここに掲出してゆきたいと、今は思っているのだが……。