先日、山田太一の名作「岸辺のアルバム」についての感想を少しだけ書きました。

山田太一「岸辺のアルバム」についての感想

「岸辺のアルバム」はテレビ文化が生んだ最高峰の作品の一つだと思います。ということは、テレビドラマは、「岸辺のアルバム」を頂点として、下り坂に入ったことをも同時に意味しているのです。その後、テレビドラマは、トレンディドラマの出現など、視聴率的には黄金期を迎えることになるのですが、人間の真実を深く掘り下げるドラマは、衰退してゆきました。

最近になって思うのは、もうテレビを中心とした映像文化は、私にとってほとんど必要でなくなったということです。そう言いつつも、生来のテレビ好きは治らず、毎日かなりの時間、テレビを見ています。しかし、今度という今度は、本当にテレビ文化と決別する時が来たのだと、心底思ったのでした。

体も、心も、映像に反応しなくなったので、離れるしかないのです。

想えば、物心ついた時から、どっぷりと、映像文化に浸りきってきた気がします。テレビ番組のすべてが無意味というつもりはありません。ただ、CMがこれだけ増えてきて、番組の質が低下し、スポーツ番組にせよ、純粋に感動することは、もう私にはできないと感じるようになったのです。

本当に映画を含め、映像が好きで好きで、はまりまくってきた私でしたが、映像が好きだからこそ、今年いっぱいで、完全に映像文化から、サヨナラしようと思ったのです。

その思いが強くなった理由の一つに、私が企画した「言響プロジェクト」がありました。このプロジェクトの目的は、一口で申しますと「言葉の力を再発見すること」だったのです。

来年からは、受容も表現も、言葉にだけ特化して行こうと決心しました。

そのためには、どうしても、テレビを捨てる必要があるのです。18歳で東京に出て数年間、テレビのない生活をしましたが、この年になって、まさかテレビを捨てるとは思ってもみませんでした(苦笑)。

仕事上、パソコンは捨てられませんが、PCで映画やテレビを見るつもりはありません。

気分転換は、音楽だけにします。その他の空いた時間は、本を読み、文章を書くか、散歩などしながら、空想を楽しみたいのです。

さて、テレビを見なくなってできた時間、まずは、どの本を読もうか、少し悩むかもしれません。