今回の風花未来の詩は「即興ダンス」です。

 

即興ダンス

 

明後日

主治医との面談がある

 

抗がん剤投与を

続けるか

やめるか

抗がん剤の量を

調節するか

 

考えて 考えて

考えぬいたけれど

ベストアンサーには

到達しなかった

 

考えることに

疲れ果てた

 

思考停止した脳に

ふっと浮かんだのが

オーディションという言葉

 

主治医との面談は

オーディション

しかも

バレーのプリマを決める

選考試験だと

想ったらどうだろうか

 

主治医のアドバイスは

楽譜のない演奏

 

そして わたしが踊るのは

振付などの縛りは何もない

100%の即興ダンス

 

主治医との面談では

思う存分に

踊り狂おう

 

伸び伸びと

体も

心も

解放して

自分らしい

ヴァリアシオン (ソロの舞い)を

楽しみたい

 

舞踏なら

理屈を吹き飛ばせる

 

優雅に

激しく

歓喜し

祈りたい

 

オーディションの結果

プリマに選ばれなくても良い

自分らしく舞えれば

それで

すべて

だいじょうぶ

 

Everything is all right

 

泣いても

笑っても

明後日が

オーディションの本番

 

筋書も

振付も

結末の用意も

何もない

真っ白なステージが

わたしを待っている

 

※ダンス・インプロビゼーション(Dance Improvisation)とは、振付(振り付け)を決めずに、音楽や感覚、その場の状況に合わせて即興で踊ること

で、創造性、表現力、身体認識を高める現代ダンスやコンテンポラリーダンスで重要な要素。型にはまらず自由に体を動かし、パートナーと対話したり、テーマに基づいて即興で踊りを進めたり、様々なテクニックやゲームを通じて即興性を養う。