風花未来の第一詩集「歌と果実」より「雪を食べて」をご紹介。

 

雪を食べて

 

あの真っ白な雪を食べて

この胸の思いをしずめたい

 

あの真っ白な雪を食べて

この胸の穢れを

洗いきよめたい

 

まぶたを固く閉じても

なぜか涙は流れ落ちる

 

届かぬ一筋の願いを

あの遠い空の高みに

舞いあげたい

 

独りに耐えつづけてきた

無口な空も

今日ばかりは

誰にも言えなかった思いを

乱れ降らせているのか

 

ああ

白になれ

わたしも

わたし以外のすべてよ

白くなれ

白くなってしまえ

 

ああ

あの真っ白な雪を食べて

この胸の病いをいやしたい