風花未来の今日の詩は「小さな窓から、あなたへ」です。

 

小さな窓から、あなたへ

 

小さな窓のある部屋は

わたしだけの秘密の場所

 

小さな窓には

厚い扉がついていて

わたしが

寂しい時

哀しい時

人恋しい時に

その扉を開ける

 

小さな窓から

見えてくる

広がってゆく世界は

いつも わたしをなぐさめ

元気づけてくれた

 

小さな窓は

幼い頃に

愛しい影法師に

ときめいた

あの幻灯機の

のぞき窓のようだ

 

自分の気持ちを

打ち明けられなくて

憧れの人をモデルに

夢中でシャッターを切り続けた

愛用カメラの

ファインダーにも似ている

 

そして 今

わたしは

本当に 久しぶりに

小さな窓の扉を開けた

 

わたしが

見つめているのは

あなた

 

あなたは

遠い

憧れの人であり

ゆらめく

影法師のようだけど

 

たとえ

夢でも

幻であっても

わたしには

あなたが必要です

 

あなたが必要なんです

 

この小さな窓の

扉を閉ざさない限り

わたしの息する場所に

光はあふれつづける