風花未来の今日の詩は「眠りの森の少年」です。
眠りの森の少年
あの薬を飲んでから
少年は眠りの森に
棲むようになった
ふつうの
人間界にいた時とは
眠りの森は
時の流れる速さが違う
というか
一日中
ほとんど眠っているので
一日が
あっという間に過ぎてゆく
目覚めているのは
一日に三時間くらい
では 眠っている時間は
死んでいるのも同じかというと
それが どうやら違うらしい
眠っている時は
意識がないけれど
夢もみないけれど
呼吸している
確かに
生きている
そして
いちばん大事なことは
眠りの森の少年は
年をとらない
ずっと
ずっと
少年のままなのだ
目覚めているのは
一日三時間だけだけれど
少年の時そのままに
陽を浴び
風に吹かれ
空を見上げ
歌をうたっていられるなら
それで良い
すべて
だいじょうぶ
なのだろう
だから
あの時から
あの薬を飲み始めたことを
後悔はしていない
眠りの森の少年になったのは
ひとつの運命なのだから

