風花未来の今日の詩は「廃墟にて」です。
廃墟にて
いつもと変わらぬ
化学療法室のはずなのに
あまりにも
静まり返っており
まるで廃墟のように
荒れ果てていて
わたしは
抗がん剤が体中に
まわってゆくのを
うつろな眼で
天井を眺めながら
感じているしかなかった
天使も
スワンも
黒鳥も
アリスも
現れないし
現れる気配もない
かつて確かに見た
天の川のような
巨大なオーラの流れも
まったく見えない
かつて
わたしの魂を鼓舞してくれた
超常現象は
もう起きないのか
何を期待しているのだ
ここまで来て
まだ 何ものかの
助けを求めているのか
化学療法室は
いつもと同じだ
変わったのは
わたしの自身に違いない
うらぶれて
荒れ果てた
原野のような
心に映るのは
廃墟の風景だけだろう
眼を閉じよう
深い眠りの底に
沈んでゆこう
眼が覚めたら
頭上から
明るい陽射しが
降ってくるだろう
だが
今回の眠りは
長くなる気がしている
