風花未来の今回の詩は「魔球」です。

 

魔球

 

球筋が

まったく読めない

 

だから 怖ろしい

だから そのボールを

魔球と呼ぶ

 

魔球は

行先が見えないから

バットで打ち返すどころか

ミットで受け止めることもできない

 

私に向かって

魔球を投げ続けるのは

いったい 誰だ

 

私を幻惑し

窮地におとしいれ

のたうちまわるのを見て

楽しんでいるのか

 

もう 勘弁してほしい

筋書を少しでいいから

教えてもらいたい

 

私に心の準備を

させないために

悪魔のボールを

投げ続けているのは

 

神ではないと

信じたい

 

だが

人を魅了し

めまいを起こさせ

死の淵にまで

追い込む

冴え渡った技の連続は

神以外には

成しえない気もする

 

もしも

神が悪魔に化身し

私を追い詰めているのなら

その理由が知りたい

 

一度でも

この魔球を

真っ直ぐに打ち返せたら

 

次々に訪れる試練の意味が

わかるだろうか

 

神の筋書が

見えてくるだろうか

 

魔球

 

その球筋を読もうとする

ぎりぎりの日々は

当分の間

続くに違いない