風花未来の今日のは「真夏の雪」です。

 

 

真夏の雪

 

真夏の夜に

雪がふる

 

冷えびえとして

身も心も

凍てつきそうな

雪が

雪が

真夏の夜に

音もなくふる

 

夢も

望みも

去りゆき

命も絶えてしまいそうな

真夏の夜に

雪が

雪がふる

 

空を見上げても

抗がん剤投与を受ける

あの化学療法室で

しばしば逢った

愛と美の化身は

今はもう

舞い降りてはこない

 

ただ あの人の

白い後ろ姿だけが

ふとあらわれ

雪のかなたに

消えて行った

 

もう

寒ささえも感じない

 

雪がふる

不思議と明るい

真夏の夜に

雪がふる

 

この夜の向こう側に

新しい朝は

あらわれるのだろうか

 

ブログの読者の皆様、いつもあたたかいお言葉と応援をありがとうございます。連日、厳しい猛暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

 

本日は、私が昨日の深夜に書き上げた「真夏の雪」という詩について、少しお話しさせてください。

 

この詩がどのような状況で、どんな思いから生まれたのか。その背景を知っていただくことで、皆様に私の詩をより深く、そしてありのままに受け取っていただけるのではないかと思っております。

 

振り返れば、私の闘病生活は2024年12月17日、化学療法室での抗がん剤投与から始まりました。

 

明けて2025年5月21日には、大腸から肝臓へ転移した14個もの腫瘍を切除するため、12時間半にも及ぶ大手術を経験しました。

 

その後も決して平坦な道のりではなく、十二指腸潰瘍、腹水貯留、そして肝性脳症の発作といった様々な合併症や副作用と、文字通り死に物狂いで格闘する日々が続いてきました。

 

そして現在も、危機的な状況は去っていません。

 

血小板が足りなくなる骨髄抑制が重度化し、癌が骨髄へ転移しているのではないかという恐怖に苛まれています。

 

激しい抗がん剤の副作用の辛さに加え、脾臓を摘出する手術の必要性までもが浮上してきました。

 

そこにこの容赦のない猛暑が重なり、私の身も心も、今はすっかり衰弱しきってしまっています。

 

輸血を受けたことで、なんとか抗がん剤投与を再開することはできました。しかし、私の心の風景は以前とは大きく変わってしまいました。

 

かつてあの化学療法室で治療を受けていた時は、私の前に天使やスワンが現れ、その存在にどれほど癒され、励まされてきたことか。

 

風花未来の「天使」「スワン」が登場する詩 まとめ

 

けれど最近は、天使もスワンも、そして、献身的に私の面倒をみてくれていた、あの看護師さんの姿も見えなくなってしまいました。

 

私は今、闘病を支えていた大きな心の拠り所を失いつつあります。

 

そんな深い絶望と孤独の中、衰弱しきった深夜の静寂に包まれて生まれたのが、この「真夏の雪」です。

 

うだるような真夏の夜であるはずなのに、私の心と身体には、冷えびえとした雪が音もなく降り積もっていました。

 

命の灯火さえも凍てつき、夢や希望が白く覆い隠されて遠ざかっていくような、極限の寒さと孤独感です。

 

詩の中で「愛と美の化身は今はもう舞い降りてはこない」と詠んだのは、先ほどお話しした、かつて私を支えてくれた天使やスワン、そして看護師さんの喪失を表しています。

 

「ただ あの人の白い後ろ姿だけが…」という一節は、美しい記憶の残像と、それが雪の彼方へ手の届かないところへ消え去っていく無力感をあらわしているのです。

 

寒ささえも感じなくなるほどの麻痺と虚脱状態。それでも、詩の終わりに降る真夏の雪は「不思議と明るい」のです。

 

それは単なる暗黒の絶望ではなく、すべてを白く染め上げるような、どこか神聖で透明な明るさでした。

 

「この夜の向こう側に 新しい朝は あらわれるのだろうか」

 

これは、過酷な現実の淵に立つ私自身の、命に対する切実な問いかけであり、暗闇の底から絞り出したかすかな祈りでもあります。

 

この自作解説を通じて、私の心象風景を皆様と共有できたなら幸いです。どうか、皆様もご自愛ください。