久しぶりに川島雄三監督の映画を見た。
「あした来る人」。
1955年の作品だが、ハイカラであり、インテリジェンスに富んでいる。
戦争が終わり、高度成長をしてゆくなかで、男女の生き方も大きく変化するのは当然だ。
その新しいライフスタイル、恋愛、結婚の形を、ストイックに、そしてドラマチックに、しかも、泥臭くならないように、洗練されたスタイルで描き切っている。
さすがに、才能豊かな映画監督、川島雄三の映画だ。
主な出演者は以下のとおり。
山村聰、三橋達也、月丘夢路、新珠三千代、三國連太郎
川島雄三ごのみの演技派俳優たちがそろっている。昭和という時代は役者の宝庫だったということが、川島雄三の映画を見ていても痛感せざるをえない。
映画だけでなく、あらゆる表現活動のレベルが下がっている。その原因について、ここで語るつもりはない。
ただ、現代人は、じっくりと時間をかけて、打算をどがえしにして、何もかもを捨て去り、一つことに打ち込みにくい環境におかれていることだけは確かだ。
「あした来る人」。古き良き時代の映画、というか、未来にまだ見ぬ輝きを期待できた時代の作品だ、ということだけは確かである。