今回は木下夕爾(きのしたゆうじ)の「ひばりのす」という詩をご紹介。
ひばりのす
ひばりのす
みつけた
まだたれも知らない
あそこだ
水車小屋のわき
しんりょうしょの赤い屋根のみえる
あのむぎばたけだ
小さいたまごが
五つならんでる
まだたれにもいわない
この子供の「ときめき」ほど素晴らしいものが、この世にあるだろうか。
命への純粋無垢な感受性が、心臓の鼓動のように、伝わってくる。
難しい表現、思わせぶりな言い回しがないところが良いと、強く思う。
詩は簡単な方がいい。簡単に書けないのは、人間の弱さ、卑屈さではないのか。
この「ひばりのす」を読み、私は全うな普通の人を回復する。なんと私の日常は病んでいることか。
⇒木下夕爾のプロフィールと「晩夏」という詩については、こちらへどうぞ