このドラマは良いです。2000年以降に見た新作のドラマの中で、ナンバーワンと呼びたいくらいの出来栄えだと言ったら誉め過ぎでしょうか。
その傑作ドラマは、「広島発ドラマ 火の魚」。
NHKで2009年に放送されました。NHK広島放送局が制作。ドラマ「火の魚」。
数々の賞を受け、すでに高い評価を得ているドラマだそうです。今まで、まったく知りませんでした。ドラマファンとして、うかつ過ぎますよね。
長いこと、NHKのドラマをリアルタイムで見ることがなくなっていましたので、これまで鑑賞する機会を持ちませんでした。
しかし、去年、2013年の12月7日に東京の高円寺に引っ越しをする際、テレビを処分。今は、パソコンで、NHKオンデマンドをよく見るようになりました。
今回の「広島発ドラマ 火の魚」も、NHKオンデマンドで鑑賞した次第です。
さて、この「火の魚」ですが、どこが良いかとい言いますと、シンプルさと純度の高さに尽きます。1時間にも満たない短さ、余計なものをそぎ落としたシンプルな構成、登場人物も実質、原田芳雄と尾野真千子の二人芝居です。
脚本と演出が良いので、日本にこんなにいい役者がいたのかと思うくらい、原田芳雄と尾野真千子が際立っている。
もちろん、お二人の演技も素晴らしいこは言うまでもありません。
ぎりぎりまで凝縮されたドラマは、細部まできらめいています。ロケ地は瀬戸内海で極めて美しく、物語中に出てくる影絵もよくできている。
短い作品ですが、長い時間とたいへんな労力を注ぎ込んで制作されており、その結晶度は胸を打つものがあります。
正直、これまで私は、こういうドラマをずっと待っていたのかもしれません。劇中の影絵を見た時、ハッと気づかされるものがありました。
この「気づき」こそ、私がこれから進むべき道を指し示していると気がしてならないのです。
NHKオンデマンドに入る気がない人は、この「火の魚」をDVDで見ることもできます。
広島の物語であり、瀬戸内海の美しい風景が出てくることで思い出したのが、新藤兼人監督の映画「原爆の子」です。
歴史の非情さに対し、自然の清らかさ、人間の繊細な優しさが静かに描き出されていて、私にとって忘れることのできない作品となっております。
ドラマ「火の魚」が、広島で作られたことに運命的なものを感じるのはなぜでしょうか。
同じくNHKの秀作「ガタロさんが描く町」も、広島で作られたドキュメンタリーでしたね。
明日、8月6日は「原爆の日」。その前日に偶然、広島発のドラマに出逢うとは、大切なこと音たててつながってゆく、そんな強い予感を覚えている私です