君塚良一監督の映画「誰も守ってくれない」の評価が非常に低いので、複雑な心境になっています。
特に「みんなのシネマレビュー」では、ぼろっかすに叩かれているのですね。
正直、ハリウッド映画はもちろん、邦画にもほとんど期待していないので、自分の中で評価基準がかなり甘くなっているのかもしれません。
この映画「誰も守ってくれない」は、そんなに低レベルな作品ではない、というのが私の素直な感想です。
少し前に矢口史靖監督の映画「ハッピーフライト」を見た時、他の人はどんなふうに感じているのだろうかと「みんなのシネマレビュー」をチェックしました。
どうしてまた、こんな程度の映画で満足している人たちが多いのだろうかと、首を傾げざるを得なかったのですね。
矢口史靖監督のファンは若い人が多く、名作映画を数多く見ていないので、評価が甘いのであろうと思いました。
逆に、この君塚良一監督の映画「誰も守ってくれない」の評価が低すぎるのです。
おそらくは、この「誰も守ってくれない」という映画を社会派作品だと思って鑑賞しているから評価が厳しくなるのでしょう。
映画「誰も守ってくれない」は、エンターテイメント作品です。正統派社会派映画では決してありません。
エンタメ性を盛り上げるための装置として社会問題を扱っているだけのことです。
ご都合主義の設定や展開は、娯楽映画の得意技ですよね。そういうことを厳密に気にしていたら、邦画のほとんどは見るに堪えません。
いろんな欠点をおおめに見て、良いところだけを集中して楽しむようにしないと最後まで鑑賞できないことになります。
あえてジャンルを決めるとしたら、サスペンスの演出を多用した人情ドラマでしょうね。もちろん、正統派の国際映画賞を受賞できるレベルには達していません。
繰り返しますが、それでも私はこの「誰も守ってくれない」を、充分に楽しんで見れました。
哀しみや苦しみに必死で耐えつつ、未来への希望を模索しつづけている人間像は、鑑賞に堪えるレベルで描けていたと思います。
主演の佐藤浩市と志田未来、それと柳葉敏郎は、たいへん良かったです。
志田未来はもともと可能性のある女優さんですが、ようやく彼女の良さが出た映画だと感じました。
佐藤浩市は過去の事件で心を病み、家庭不和などで疲れ切っている刑事役を好演。佐藤浩市はこれまで作品に恵まれてこなかったと思います。この映画を見て、もっともっと良い脚本に出逢ってほしい、数少ない役者さんの一人だと再確認しました。
作品のレベルとしては出版社が乱発してきた、量産型の推理小説、サスペンス小説などと変わらないかもしれません。
しかし、私としては、現在は、映画を鑑賞する場合、役者の魅力を感じることに重きを置いているのです。
こういう類の映画を、社会派作品として見てしまうと、突っ込みどころ満載すぎて、げんなりしてしまいます。
もう一作、君塚良一監督の映画を続けて見ましたので、次回はその作品について語ってみますね。