映画「あン時ゃどしゃ降り」をご紹介。
この映画を観たよ、と周囲の人に言うのが恥ずかしいくらい、ベタな娯楽映画。タイトルからしてねぇ~。
でも、これがなかなかどうして、観て損はしない、よくできた良質なエンタメ作品となっている。
「あン時ゃどしゃ降り」は、1958年に公開された日本映画。監督は森永健次郎。当時人気の春日八郎が映画中で歌う、いわゆる歌謡映画シリーズだ。
まだ吉永小百合がデビューしておらず、つまり、日活青春シリーズは始まっていないので、「あン時ゃどしゃ降り」は白黒の地味な作風となっている。暗いと言えば暗い……。
と私が言っただけで、引いてしまい、スルーする人も多いに違いない。でも、ちょっと待ってもらいたい。本当に一見の価値ある佳作なのである。
監督は森永健次郎、主演は青山恭二と香月美奈子。ともに広く知られる役者ではないが、二人の好演が光っている。
青山恭二の兄貴分を演じるのが春日八郎である。昭和生まれの人ならば誰もが知っている歌手だ。役者として観るのは、私もこの映画が初めてだった。演技はうまくないが、頑張っていて、好感が持てた。