戦友別盃の歌

 

---南支那海の船上にて。

 

言ふなかれ、君よ、わかれを、

世の常を、また生き死にを、

海ばらのはるけき果てに

いまや、はた何をか言はん、

熱き血を捧ぐる者の

大いなる胸を叩けよ、

満月を盃にくだきて

暫し、ただ酔ひてきほへよ、

わがくはバタビヤのまち

君はよくバンドンを突け、

この夕べ相さかるとも

かがやかし南十字を

いつの夜か、また共に見ん、

言ふなかれ、君よ、わかれを、

見よ、空と水うつところ

黙々と雲は行き雲はゆけるを。