「TOYD」は、2002年3月からWOWOWでオンエアーされた、森淳一監督、石田未来主演によるサスペンス。映画だと思って鑑賞したのですが、テレビドラマだそうです。
森淳一監督の代表作といえば「ランドリー」ですが、「TOYD」はあまににも作風が違うのでビックリしてしまった。
まとまったレビューはできそうにないので、以下、感想を箇条書きにしてみることにする。
テーマは重いけれど、シャープなサスペンスの演出で、中だるみなく楽しめた。
スピーディで、少しもお説教くさく感じない。
森淳一監督の代表作「ランドリー」は現代的なアイテムを捨てたが、ここには逆に現代性がぎっしり詰まっている。いちいちは挙げないが、新聞の社会欄で見かける話題が多数はいっている。
人物の描き方が巧いし、鋭い。
家族の絆、刑事と心理捜査官の関係の描写力。
映像の美しさと切れの良さ。
ケータイで操作できるロボットのアイデアとデザイン。
すべて、感心させられた。
会話も切り詰められていて、効いている。
それにしても、「ランドリー」と、どうしてこんなに大きく作風が変わってしまったのか。
小道具の使い方。
固いのか柔らかいのかわからないお菓子(?)の効果。
巨大団地という場所の設定。
参った。レベルが相当に高い。
テーマと人物造形の相関性。巧いのは少年が犯人だということ、きっちり最初に出している点に注目。だから、人間をきっちり描くことができる。
役者の選び方、子役の使い方も秀逸。
技術論ぬきに、はらはらできる。ハリウッドより繊細で味のある演出は、素晴らしい。コンパクトな、小気味のいい仕上がりに拍手。
石田未来ファンも、必見。
「ランドリー」と「「TOYD」、なぜこれほどまでに作風が違うのか、結局はわからなかった。ただ、共通していることには気づいた。
それは、良い意味での映画としての青臭さだ。