山田太一ドラマの傑作中の傑作「岸辺のアルバム」を、最後まで鑑賞した。
これが2回目だ。1回目から10年以上が経過していたが、今回の方が感動は大きかった。
今回は、その最終話について、書きとめておくことにする。
エンディングの素晴らしさ。
このラストシーンは、よほどの力量がないと描けない。
余韻、余白、余情といった美学を体得した作家でないかぎり、このエンディングは演出できない。
全部で15話。
実に多くのことがあった。
その事件のどれもこれもが、リアリティがあった。
ドラマを鑑賞した私自身の人生と変わらぬリアリティがあった。
山田太一のドラマは厳しい。
時には、実人生よりも厳しいのだ。
現実の方が、もっと山田太一ドラマよりは、甘く、優しい気がする。
現実の方が、いい加減にやり過ごせる時が多いだろう。
だが、山田太一は、妥協しない。登場人物をとことん追い詰める。
修羅場から逃がさない。困難から逃避させんない。
困難な現実と正面衝突させる。
そこに紛れもないドラマが生まれるのだが、あまりのも切羽詰まっていて、見ているだけで疲れてしまうのだ。
それにしても、「岸辺のアルバム」のラストは良かった。
エンディングの美学、ここに極まれり、と言いたい。