女優の京マチ子さんが、5月12日午後0時18分に死去されました。

 

京マチ子さんは、出演作が世界的な賞を受賞したこともあり、世界的にも高く評価された名女優でした。

 

出演した映画、黒澤明監督の「羅生門」がヴェネツィア国際映画祭金獅子賞とアカデミー賞名誉賞を受賞、溝口健二監督「雨月物語」がヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞、衣笠貞之助監督の「地獄門」がカンヌ国際映画祭で最高賞であるグランプリ[5]、第27回アカデミー賞で名誉賞と衣裳デザイン賞を受賞。

 

「羅生門」での京マチ子さんの演技を見た時、度肝を抜かれました。女性がここまで激しく変貌するものかと、自分の目を疑ったくらいです。

 

黒澤明監督の演出が素晴らしいのはもちろんですが、京マチ子さんの演技は、規格外というか、通常の尺度では測れない、強烈なインパクトとスケールを放っていました。

 

⇒「羅生門」の感想はこちら

 

そして、溝口健二監督の「雨月物語」。妖艶にして神秘。日本人離れした存在感に圧倒されました。

 

京マチ子さんの演技は言葉では形容しがたいのですが、要するに、替えがきかないのです。あの「羅生門」と「雨月物語」は、他の女優が演じることを断固拒絶するような絶対感、透徹感がありました。

 

⇒「雨月物語」の感想はこちら

 

京マチ子さんは紛れもなく天才女優でした。しかし、その天才を引き出しえた、優れた映画監督が存在したこともすごいと思います。

 

日本映画の黄金期に異彩を放った、京マチ子さんという女優がおられたことに、感謝したい気持ちでいっぱいです。