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イビチャ・オシム(Ivica Osim) プロフィール
1941年5月6日、旧ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)のサラエボ生まれ。2022年5月1日逝去(享年80)。
現役時代は天才的なテクニックを持つ選手として活躍し、地元クラブのFKジェリェズニチャルやフランスのクラブでプレー。
ユーゴスラビア代表としても1964年の東京オリンピックなどに出場しました。
引退後は指導者の道に進み、1990年のイタリア・ワールドカップではユーゴスラビア代表監督としてチームをベスト8に導きました。
しかし、その後の母国の内戦激化により、EURO1992の直前に監督を辞任するという苦渋の決断を下します。
その後はギリシャのパナシナイコス、オーストリアのシュトゥルム・グラーツなどで指揮を執り、特にシュトゥルム・グラーツではUEFAチャンピオンズリーグで旋風を巻き起こしました。
2003年、Jリーグのジェフユナイテッド市原(現・ジェフユナイテッド市原・千葉)の監督に就任。
無名に近い選手たちを「考えて走る」サッカーで育て上げ、2005年にはヤマザキナビスコカップでクラブ初のタイトルをもたらしました。
2006年からはサッカー日本代表監督に就任し、「日本サッカーの日本化」を掲げてチームを牽引しましたが、2007年11月に急性脳梗塞で倒れ、無念の退任となりました。
サッカーという競技の枠を超え、人生や社会の真理を突くような数々の言葉は「オシム語録」と呼ばれ、今も多くの人々に影響を与え続けています。
準備と心構え
「ライオンに追われたウサギが、逃げ出す時に肉離れをしますか? 準備が足りないのです。」
- 出典: ジェフユナイテッド千葉(当時・市原)の監督時代、練習中に肉離れを起こして離脱した選手に対して発せられた指導の言葉。
- 解説: プロフェッショナルとしての日常の準備がいかに重要かを説いた言葉です。野生の動物が生きるか死ぬかの極限状態で決して準備不足による怪我をしないように、人間も常に本番の危機的状況を想定した厳しい準備を怠ってはならないという、人生における危機管理や心構えの厳しさが示されています。
主体性と行動
「考えて走れ。(走りながら考えよ)」
- 出典: ジェフユナイテッド千葉および日本代表監督時代を通じて、チームの基本コンセプトとして選手に繰り返し求められたスローガン。著書やインタビューでも頻出します。
- 解説: 目まぐるしく変わる状況の中で、立ち止まって考えるのではなく、行動しながら最適解を模索し続けることの重要性を指摘しています。
- 誰かの指示を待つのではなく、自らの頭で判断し、能動的に決断する主体性の尊さを訴えた、現代社会を生き抜くための哲学に通じる名言です。
組織における役割と献身
「チームのために水を運ぶ選手が必要だ。」
- 出典: 日本代表監督時代、守備的ミッドフィルダー(鈴木啓太選手など)の役割やプレースタイルを高く評価する際にメディアに対して多用された表現。
- 解説: 華やかなプレーで脚光を浴びる花形の存在だけでなく、見えないところで泥臭く走り、ピンチを摘み取り、全体のバランスを保つ献身的な存在が組織には不可欠であるという考え方です。
- 社会や企業においても、縁の下の力持ちがいてこそ組織が成り立つという深い人間理解が表れています。
限界の突破と精神力
「疲労とは錯覚に過ぎない。」
- 出典: 非常に強度の高い練習(いわゆる「オシム語録」が生まれるグラウンド)の中で、疲れを訴えて足を止める選手たちに向けて放たれた言葉。
- 解説: 肉体的な限界が来るよりも先に、人間の精神が「もう無理だ」と諦めてしまうことに対する強い警鐘です。人間は自らが思い込んでいる以上の潜在能力を秘めており、心のストッパーを外すことでさらに一段上のステージへ到達できるという、人間の精神の可能性を説いています。
アイデンティティと独自性
「日本サッカーを『日本化』する。」
- 出典: 2006年夏、サッカー日本代表監督に就任した際の記者会見での発言。
- 解説: ヨーロッパや南米の強豪国を盲目的に模倣するのではなく、日本人特有の長所(俊敏性、組織力、規律の正しさ、献身性など)を最大限に活かした独自のスタイルを確立すべきだという宣言です。
- 個人や組織が成長を目指す際にも、他者の真似ではなく、自分自身のルーツや強みを深く理解し、それを武器にすることの重要性を示唆しています。
コミュニケーションと意図
「パスとは、出し手から受け手へのメッセージである。」
- 出典: 練習中、意図のないパスや漫然としたプレーをした選手に対して、そのプレーの意味を問いただした際の発言。
- 解説: パスという単純な行為にも、送り手の意図(どこに走ってほしいか、次にどう展開したいか)が明確に込められていなければならないという指摘です。
- これは人間関係における対話やビジネスにおける意思疎通にも当てはまり、相手の状況を思いやり、明確な意図を持ってコミュニケーションをとることの大切さを教えています。
挑戦とリスク
「リスクを冒さないことこそ、最大のリスクである。」
- 出典: 常に攻撃的でリスクを恐れないサッカーを志向する中で、試合後の会見や選手へのミーティングで発せられた言葉。
- 解説: 失敗を恐れて安全な選択ばかりをしていては、決して大きな成果や勝利を掴むことはできないという哲学です。激しく変化する環境下においては、現状維持や消極的な姿勢こそが最も危険であり、勇気を持って挑戦し続けることでのみ未来は拓かれるというメッセージが込められています。


