「ブラッド・ワーク」(原題:Blood Work)は、マイクル・コナリーの『わが心臓の痛み』を原作として2002年に公開された、クリント・イーストウッド監督のアメリカ映画である。
最近見た、クリント・イーストウッド監督・主演の映画は、すべて人間ドラマだったが、今回ご紹介する「ブラッド・ワーク」は、サスペンス・ミステリー映画だ。
もちろん、人間ドラマがないわけではない。しかし、主軸はサスペンスとミステリーによる、エンターテインメント性の追求にある。
特に、ラスト近くにならないと真犯人がわからない、意外な人物が殺人者だったという演出では、人間ドラマを深めるのは難しい。
ただ、元FBIの人間が、なぜ事件の捜査に深入りするか、その動機の設定は素晴らしい。
この動機に無理がないため、視聴者はぐいぐい物語に引き込まれてゆくことになる。
とにかく、面白い映画だ。面白くなければ映画じゃない、と言いたげなクリント・イーストウッドの顔が思い浮かぶようなエンターテインメントの傑作映画だ。